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秋になり、暑さも和らぐ頃には
紐を外している時間も次第に長くなり、
ジョーイの行動も元気で、
自由にのびのびとしてきました。
【生後2歳8ケ月〜3歳半】
冬に成り
時々遊びに来る息子夫婦にも
警戒心、反抗的態度等も薄らぎ、
私達も心配で目が離せない、
なんて事も無くなりました。
そして5月の連休、父が生前、ジョーイが気に入って
父の飼犬「白」とジョーイを交換して欲しいと言っていました。
そんな思い出を胸に、ジョーイにとって2度目の沖縄
沖縄の空、海、空気と同じ、明るく元気な姿がそこには有りました。
すれ違う人達は、ジョーイを見て、かわいいと言って立ち止り、
笑顔で接する喜びに満ちた日々・・・。
あの辛い日々が嘘の様に穏やかな休日を楽しんでいました。
5月と言ってももう暑い沖縄、私達は泳げなくても、ジョーイを
海に連れて行って、疲れない程度に少し泳がせてあげました。
ロッジに帰り、疲れたのかこうして寝ていたのが最後、
深夜に成って突然、起き上がってからは、息を荒くして、
部屋中歩き回るジョーイ、クーラーを強冷にしても、
抱きしめても、座ろうとも立ち止ろうともせず・・・。
水ばかりを飲み続け、そして歩き回る。
一晩中、そんな状態が続き、明け方とうとう立てなく・・・。
翌朝、獣医さんを捜しながら車を走らせている間に
とうとう私の腕の中で、動く事も息をする事も・・・・。
ジョーイはその日、沖縄の海の側の高台に葬って、
パパは、ショックの余り、食事も大好きなビールでさえ
咽喉を通らずに、二人共ただ黙って泣いてばかりいました。
あまりにも辛くて、沖縄の滞在日程を急遽変更して、
逃げる様に沖縄の空を飛び立ちました。
飛行機に乗る時にはもうジョーイは居ませんでした。
そして伊丹空港に付いても、もちろんジョーイは居ません。
帰りの車の中でも泣いてばかりいました。
助けてあげられなくて、ジョーイごめんね。
心臓の発作だったんだよね。苦しくて、苦しくて
じっとしていられなかったんだよね。
やっと仲良くなれたのに、これから本当に幸せになれたのに。
前年末に父が亡くなっていました。
ジョーイが大好きだった父がジョーイを連れて行ったのかも・・・。
私に「○○子にはブルドッグは似合わないよ。白は良い子だよ。
白の方が似合うよ。」病院のベッドで何度も我がままを言っていました。
「お父さん、早く元気に成って、白と一緒に大阪へおいで、
大阪まで来れたら、帰りにジョーイを連れて帰ったら良いからね」
なんて、もう長くない父にそう言って喜ばせたのが悪かったのかも。
今は天国で父の胸に抱かれているかもしれませんね。
子供達に迷惑を掛けたくないと言って、死ぬまで一人暮らしを
通した父も、本当は寂しかったんでしょうね。
可愛い、人懐っこいジョーイが側に居て欲しかったのかも・・・。
−完−